悪魔の熱情リブレット
第四幕


 悪魔達の根城である地獄。

一言で地獄と言ってもその世界は広大だ。

地獄の中でも悪魔達が多く住んでいるところを彼らは魔界と呼ぶ。

そんな魔界の最深部で、焼けつくような地獄の炎に囲まれながら瞑想している悪魔がいた。

見目麗しいその悪魔は漆黒の衣装を身に纏っている。

長い髪も黒。

瞳も黒。

しかし肌は死人のように白かった。

「よう!元気ですかい?」

馴れ馴れしい男の呼びかけに漆黒の悪魔は笑った。

「バシンか。何用だ?」

青ざめた馬に乗り登場したバシン。

愛馬から飛び降りると早速本題を話した。

「あんた、最近ティアナっていうお嬢ちゃんに取りついたか?」

漆黒の悪魔は笑みを深めバシンを見据えた。

「取りつこうとしたが、失敗した」

やっぱりかと苦笑するバシン。

「破壊の悪魔に邪魔されてな。よっぽどあの小娘を気に入ってると見える」

「お嬢ちゃんに取りついてどうするよ?何か恨みでもあるのか?」

「いや…」

彼はバシンの愛馬を撫でながら言った。

「彼女には、礼をしなくてはと思ってな…」

「礼?」

ティアナはこの性格最悪悪魔と知り合いなのだろうか。

バシンが疑問に思っているとその悪魔は「しかし」と話しを続けた。


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