《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
ヒラヒラと舞う小さな花弁が先生の読む教科書に落ちた。



「…校庭の桜も散りかけているようだな~」
読み終わるとボソリと先生が呟く。




一流の陰陽師を目指すのであれば、まずは季節を肌で感じなさいと祖母は言った。



出産後は母は亡くなり、婿養子である父は分家の圧力に耐えれず…家を出た。



私は祖母に養育された。後継者としてなるにはまだ、陰陽師として不十分。

でも、病で臥せがちな祖母に代わり、当主となる時は近づいている。



私と小笠原先生は視線を絡めた。


囚われてしまいそうな強い眼光。


小笠原先生の紫色の瞳から溢れる強い力に、私は圧倒された。



「安倍…続きを読め…」


「・・・はい」
私は渋々と返事して、席を立ち、続きを読んだ。



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