面を取った花奏は悔しそうに唇を噛み締め、涙まで潤ませた。



相当な負けず嫌い。そんな印象を受ける。



俺も面を取り、頭に被った綿タオルを外して、額に滲んだ汗を拭き取った。



「・・・不満ならもう一度、勝負してやっていいが・・・」


「潔く…あなたの花嫁になります」


「・・・」


情(ナサケ)を掛けてやったのに、花奏は俺の情を払った。気の強い上、サバサバした性格らしい。
女特有のドロドロした性格ではないようだ。


俺の情に甘んじんて、もう一度、勝負を挑んで来ると思ったが、キチンと腹を括り、覚悟をキメる所に俺は…少し惹かれた。



気はまだまだ、弱いが、安倍家の当主となる器はある。



「そうか・・・なら、婚儀の話を進めよう」


「え、あ…」



俺の言葉に花奏は頬を染めた。
その表情に俺の鼓動はトクンと跳ねる。