二人のひみつ基地
伊織君の豹変


伊織君に案内された場所は五階建ての2LDKのマンションだった。


「ここ?」


「うん。うちの親父がね、音楽が好きでさ……楽器もたくさん買い集めていてね。三年前にここに楽器だけ置いてるんだ」


「楽器の為にマンション借りてるの?」


「うーん。借りているって言うか……親父が持ってるマンションでさ」


「つまり家主さん?」


「うん。たまに俺、ここで寝泊まりすることがあるから一通りのモノは揃ってるし、セカンドハウスってとこかな」


そう言って階段を一つ上って二階にある一室の前で伊織君はポケットから鍵を出した。


玄関に入って伊織君がサンダルを脱いで玄関の敲きに置いてあったバスタオルを私に渡してくれた。


一度戻った時に玄関にバスタオルを置いたのだろう。


部屋中の灯りも点いていた。


私は玄関先で立ったまま、アップにした髪を解いてバスタオルに髪を叩きつけた。


ヘアスプレーと雨の臭いで髪の毛は最悪だった。


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