二人のひみつ基地
陸君からの忠告


週明けの月曜日、昼休みに愛子と亜美と三人で昼食をとっていた。


「で、愛子は陸君とあの後どうなったの?」


亜美が興味深々で愛子に聞く。


愛子は膨れっ面になって
「あれからさ……陸君のお母さんが車で迎えに来て半分追い払われたって感じ」


「お母さんが?」


「陸君ってお母さんに弱いみたいでさ。ごめんねって言ってたけど……」


「愛子によく似たタイプのお母さん?」


亜美が私の方を向いて
「えっ?どうして沙織が陸君のお母さんを知ってるの?」


「えっ?」


「あっ……あの後帰りの電車で伊織君と会ったから……ちょっと話をしたんだ」


「沙織、会ったんじゃなくて、伊織君が物凄く慌てて沙織を追いかけたんだよ。ファンの子たちを振り切ってさ。凄いブーイングだったんだよ」


愛子が食べていたカレーのスプーンを振りながら言う。



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