もぎたての桃のように頬を薄紅色に染めて、熱っぽく潤んだ瞳で僕に訴えかける。なんて身体に毒なんだろう、この光景は。

 彼女が帰ったあとで僕は、肩の荷を下ろすように長いため息を吐いた。

 四十になる男が彼女の気持ちに気づかない程、鈍感であるはずがない。

 さりげなくかわすことも必要だが、彼女には分かりやすいように伝えた方が効果はあるみたいだ。

 揶揄られているとでも思ったのだろう。彼女は猫のように丸い瞳を向け、不機嫌そうに眉をきゅっと寄せて……拗ねていたみたいだけど。

 それがずっと昔に見た顔にだぶって見えて、僕の胸になにか懐かしいものがこみ上げた。






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