先生とシンデレラ
ミスコン*第一次審査*
いつもより朝早く起きて朝ご飯を食べて、身支度を整えて、お母さんに挨拶をして、いつもの通学路を歩く。

いつもと全く同じ道を通ってるのに、なぜか違う感じに見える。

…ような気もする。

本当はわかんないけど。

…朝から実感がない。

今日が本番だっていう実感が。

そう考え始めた所で学校の下駄箱に着いたので靴を履き替えながら
こんな寒い朝早くからどこに行こう?
と思いながらもやっぱり教室しか思いつかなくて教室に向かった。

いつものようにまだ誰も来ていない教室のドアを開けると。

「…え、」

付いてないはずの暖房が、付いていた。

しかも教室の中がだいぶん暖かくなってる。

私さえ今日来た時間はいつも来る時間より早いのに…

悩みながら自分の席に荷物を置いていると、ドアの開く音がしてゆっくりとそのドアを開けた人物を見る。

「…おはよう。やっぱり、こんな朝早く来て…ちゃんと寝たんだろうね。」

少し、苦笑しながら
「…何で…」

「…羅々が、朝早く来て教室が寒すぎて風邪ひかれたらたまんないからね」

「…」

「よく眠れたの」
そう一歩一歩近づいて来る。

私の目の真ん前まで来ると先生はゆっくりとわたしの目元を撫でて
「隈は無さそうだけど」

「…っちゃんと、寝れました」

「あ、そ。めずらしいね。」

「私が今する事は弱気になる事じゃないなって思ったので」

先生は私のその言葉を聞くと目元を撫でた手をそのまま私の頭の上にのせて、そうだね、と言った。
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