職場の仲間なんだから

それが当然、でいいと思う。



仕事の顔とプライベートの顔。



そこに違いがあるのは当たり前で、

二面性とか裏があるとか、

そう言うのとは全く違う。



そう納得しながら、

私は自分を省みた。



みんなが知らない私。



それは職場の仲間だから

知る必要がないと言うんじゃなくて。



誰にも言えない、私の心の闇。



思考がそこに行き着いて、

私はカウンターに頬杖をついた。



マスターは他の客の注文を聞いて、

シェイカーを振っている。



それを眺めながら、ふと―――



とても遠い気分になった。




東京の人混みの中。



人にぶつかって歩くのが困難な位、

いつも周りには人が溢れ返っているのに。



誰一人、通り過ぎた人間など気にしようとしない。



私と言うちっぽけな一人の人間を隠すには、

この都会は絶好の場所だった。



一寸先の出会いも別れも、

人の記憶に残りはしない殺伐とした空気。



この街は闇も含めて、

私を全部飲み込んでくれるから。



だからみんな、

この街に呼ばれて来るんだ。

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