だから差し伸べられた手は、

確かに救いだったんだと思う。



マスコミは静かになったけれど、

家族はもう完全に崩壊した頃、

鳴らされたインターホン。



チェーンを掛けたまま薄く開いたドアの向こうに、

スーツを着た明るい笑顔の男の人が立っていた。



男の人ってだけでも

顔を背けたくなる、って時期は越えていた。



だけどすぐ目の前で手を動かされると反射的に身体が竦むし、

思い切りドアで閉めようとして。



うわ、待って待って! 



男の人がドアの間に足を差し込んで来た。



足を挟んでしまったのは自業自得だと思うけど、

男の人はものすごく痛そうに顔を歪めた。




待って下さいよ。



目に涙まで浮かべそうな情けない顔。



それでもスーツの胸ポケットから

黒い手帳を取り出した。



もう何度か見た事のある警察手帳。



なんだ、警察だったのか。



完全にドアを締め掛けていた手の力を緩めた。



まだ時々来る事はあったけど、

大分ご無沙汰だったはず。



しかも初めて見る刑事さんだった。

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