感謝してもし尽くせない。



それが彼への気持ちを表す言葉。



だけどどれだけの時を一緒に過ごしても、

それ以上想いが膨らむ事はなかった。



彼への想いは『恋』にはならない。



そう自覚していながら、

自分でもちぐはぐな事をしていると痛感していた。



彼との関係。



傍から見れば、

同棲にしか見えない生活。



している事は恋人同士だからする事なのに。



心が寄り添う事のないまま、

身体だけを重ねる。



大人の関係だと割り切れる程、

まだ大人になっていない。



だけど。



この東京で。



君のいない世界で生きて行くには、

彼が必要だった。



ある意味で、

十分彼に心を寄り添わせていたのかもしれない。



それが『恋』ではなく、

ただの依存だったとしても。



新しく広がったこの狭い世界で、

信じられるのは彼だけだった。



もうきっと、彼から離れる事は出来ない。



いつしかそう思う様になっていた。



この世界は、

彼に与えられた世界だから。

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