夜の官庁街に

二人の女のヒールを打ち鳴らす足音が響いた。



まだそう夜も遅い時間じゃない。



都会で全力疾走する女二人を、

通りすがりのサラリーマンが

怪訝そうに振り返って見送る。



だけどそんなの構ってられない。



私は逃げて行く背中を必死に追い掛ける。



そうしてどんどん距離が狭まって来たのを感じた。



甘く見ないでよ。



これでも体力と運動神経には自信がある。



少なくとも、綾乃(あやの)。



あなたには負けない。




「……逃げないで!!」



トレカを出てからどの位走っただろう。



軽く息が上がり始めた時になって、

私は逃げる綾乃の腕を掴んで、

グッと引き寄せた。



強く引き過ぎたのか、

綾乃はバランスを崩して

その場に崩れ込んでしまう。



それに巻き込まれる様にして

私も地面に倒れ込んだ。




「……痛っ……」



目の前で眉をひそめた

その顔を真っ直ぐ凝視する。



間違いない。

私の知ってる綾乃だった。

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