綾乃。間宮綾乃(まみやあやの)



最後に見た時よりも大分大人びていたけれど、

彼女を変えたのと同じ年月が

私にも当然流れている。



そうして私達は半分睨み合う様にお互いの顔を見つめて、

荒くなった呼吸を整えながら。



綾乃も観念した様に身体から力を抜いた。



「やっぱり綾乃だったのね。

この間も見掛けたのよ。それに……」



気を緩めてはいけないとわかっていても、

私は少しだけ口調を和らげる。



だけど綾乃は私からフイッと目を逸らして、

掴んでいた手を大きく振り払った。



「あ……」


「逃げない。痛いから放して」




鬱陶しい物を見る様な目。



その瞳に委縮して、

私はごめん、と言いながら

綾乃の腕から手を離した。



「綾乃」


「……言っときますけど、何を聞かれてもわからない。

犯罪が起こるって情報のあった場所に、

どうして私がいたか、なんて。

いたくていたんじゃない」



強張った表情を残したままで綾乃がそう呟いた。



官庁街の歩道に女二人が

座り込んで話しているのはあまりにも不審だった。



歩き去って行くサラリーマンの視線が痛い。

この作品のキーワード
刑事  殺人事件  大人  シリアス  純愛  謎解き  切ない  不良  恋人  運命 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。