もしかしたら、彼自身が自分の存在を消したかったのかもしれない。


だけど消してしまうには、彼の纏う空気は強過ぎた。


他人に対してまるで無関心な態度は、彼の周りにいつも諍いを招いた。
彼自身が望んでなかったとしても、彼の姿も行動も人の目を惹く。


出所の知れない噂だけが先走って、ますます彼は『特別視』される。


そうして彼は自身の孤独を作り上げて行く。


孤独を求める人なんていないと思っていたけれど。
彼なら独りでも生きて行けたのかもしれないけれど。


本当は、纏った孤独から逃れたかったに違いない。
人の温もりを求めていたに違いない。


だって。


彼と交わしたキスは、とても優しくてあったかかったから。

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