長い長い、たくさんの人の苦悩を抱えた話。



話し終えると、

私は大きく息を吐いた。



三浦君に呼ばれて加わった酒井さんも、

難しい顔をして手元に目を落としている。



私の声が消えた後の取調室は、

ありえない位静かだった。



まさかここで、

私が証言する日が来るとは思いもしなかった。



でも事件の担当を外れた今、

二人の前で私は重要参考人の家族であり、知人だ。



証言を求められれば答えるしかない。



隠しておけないとわかっているのだから、

当たり前だけど、黙秘なんて考えなかった。



主任との話を聞いてクッションが出来ていた三浦君と違って、

酒井さんは相当混乱していた。



話の途中までポカンと口を開けて、

それから意味もなく髪を掻き回して。



今やっと落ち着いて、

それでも眉を寄せている。



私はと言えば。



ずっと隠していた訳じゃない。



言わずに済むならそうしたかった。



だけど出来ないとわかってるから、

言ってしまったらホッとした。



一人で胸に抱え続けた

鉛みたいな重りを取り除いてもらったみたいに、

妙にすっきりした気持ちだった。

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