綾乃のバイト先が見つかったのは、

予想もしない偶然だった。



「正直かなり煮詰まってたんですよ。

で、もう今日は帰庁しようか、なんて空気になって。

どうせまた残業だし、その前に腹ごしらえ、って言うんで

久々にファーストフードの店に入ったんですけどね。

そこで働いていた女の子が、

モンタージュと物凄く良く似てたんです」



執務室に入って来るなり、

デスクに駆け寄って来た三浦君が、

声を低めて報告してくれた。



「あくまでも十五歳当時の写真から今どう成長しているか、って

予測を踏まえたモンタージュだったし。

結構慎重に観察して、似過ぎだろうって判断した。

退店して酒井さんには先に戻ってもらってから、

店長に職質掛けて、名前を確認しました。

間宮綾乃で間違いありません」



この警視庁がある霞が関からもほど近い、

赤坂のファーストフード店。



こんなに近くにいたって事が、

却って意外だった。



報告を聞いて黙り込んだ私を、

三浦君がジッと眺めている。



そして溜め息をつくと、

一人言みたいに呟いた。



「……間宮綾乃の方は、

東京湾刑事襲撃事件で任同掛けるべきですよね?

塔子さんに任せていいですか?」



わざとらしい言い方に、

少しだけ苦笑した。

この作品のキーワード
刑事  殺人事件  大人  シリアス  純愛  謎解き  切ない  不良  恋人  運命 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。