久し振りどころか。



姉弟なのに、

私が知ってる蒼甫は

まだ一桁の年齢の姿で成長を止めている。



そして蒼甫が知っている私もそれと同じはずなのに、

こうして普通に

『久し振り』なんて言える事が、不可思議だった。



「最後に会ったのいつだっけ?

姉ちゃん、大きくなったね」



二十五歳にもなって、

弟から『大きくなった』なんて

言われると思ってなかった。



蒼甫のあっさりし過ぎの態度に

ペースを飲まれそうになるのを踏み止まって、



「世間話してる場合じゃないでしょ」



蒼甫の話を遮った。



私の返事に黙って、

蒼甫は直ぐに薄く笑う。



そんな様子は弟なのに

ただの見知らぬ男にも見えて、

私は目を逸らしながら溜め息をついた。



「……今までどこにいたの」



聞きたい事は山ほどあるけれど、

最初に口を突いた質問はそれだった。



私の声はちゃんと聞こえたはずなのに、

蒼甫は黙っている。



返事を促そうとして顔を上げて、

蒼甫が私の机の上をジッと見ているのに気が付いた。

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