とある一つの教室。



蒼甫は窓際の席に座って、

不機嫌そうに頬杖をついてそっぽを向いていた。



廊下側の隣りの席には塔子さん。



そして私は蒼甫の後ろの席に座っていた。



教壇に立っているのは三浦さんで、

完全に教師になった気分なのか、

黒板に向かってチョークで音を立てながら、

そこに文字を書き始めた。



『三浦修二は何者なのか』



それを見て、

蒼甫は頭を抱えそうな程机に突っ伏した。



「……謎なのはわかるけど、

どうしてこんな先生ごっこしなきゃなんないの?」



低い抑揚の無い声。



多分きっと、

みんな根本的には同じ疑問を抱えている。



「まあ、突っ込み所は満載だけど、

教室だと思わなければ特捜部の会議と似た様なもんだし」



多分こういう空気に慣れてるんだろうけど、

意外と塔子さんは平然としていた。



そして私は。



「いいじゃない。

こんな『授業』絶対普通じゃ体験出来ないんだから」



ほんのちょっと乗り気で、

足を前に長く伸ばした。



そして多分一番普通の感性で

この状況を見据えている蒼甫は、

深く長い溜め息をついた。



それを聞いて、三浦さんがジロッと睨む。

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