昼下がりの執務室。



外の気温と執務室の陽気に、

意識を奪われて眠りこけそうになる。



だけどそんな快適な眠りを止めたのは、

酒井さんの容赦ない鉄拳だった。



「おい花村。

お前今本気で寝落ちしただろ」



その声に慌てて首を振って、

自分の無罪潔白をアピールした。



「とんでもない!

こんな忙しい時に、いくらこの陽気でも眠ろうなんてそんな」


「……だよなあ。

この忙しさは誰のせいだ?

お前と三浦が、

加納さんを『殺人事件の容疑者』として逮捕したからだよな。

自業自得だろ」



恨みがましい酒井さんの言葉にも、

私は溜め息をついて肩を竦めるしか出来ない。



「……したくてした訳じゃないです」



言い訳なんかしたくない。



だけど言われ方が理不尽で、

ついそう呟いてしまう。



それを聞いて、酒井さんも溜め息をついた。



「当たり前だ。

俺だってまだ信じられないよ。

こんな形で事件が終息するなんて。

……加納さんが『犯人』だなんて」



そう言って、酒井さんは視線を逸らした。



向けられたのは、加納さんのデスク。



いや、加納さんのデスクだった席だ。

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