「……塔子さんって」

つい思考を巡らした私に、三浦君が運転席から声を掛けて来た。


ハッとして頭を上げると、もう警視庁まですぐの見慣れた通りを走行していた。


「どうして刑事になったんですか」


何でもない質問だけど、今まで考えていた事を見抜かれて、向いてませんよと言われた様な気分になる。


だけどそうだと思う。
私は多分刑事には向いていない。


罪を犯した人間をいつまでも許せないと思っているのは、正しい正義じゃないと思うから。


そもそも私には初めから正義感などない。


「大抵の人は、警察官って聞くと、正義の味方だって連想するかなって思って」


私の答えに、三浦君は一瞬だけ黙り込んだ。
そして直ぐに乾いた笑い声を上げた。


「……今時そんな風に思う人、いるんですかね」

「思わないかな」

「少なくとも。
俺は自分が正義の味方だと思われてるとは思わない。
そう思われたいとも思いません」


それだけ言うと、三浦君は駐車場に向かう為に庁舎の一つ手前の信号で右折した。

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