ゾンビのヒットマン
最高のインテリア
 




◆◆◆◆◆





そして意識を取り戻したとき、私はゾンビになっていた。

そう、つまり、ソレが“今”というワケだ。

おわかりいただけただろうか。

なぜ私がこれほどまでに混乱しているか。


やはり、真相に繋がるモノは何一つなかった。

小さなヒントすらも。

だがその代わり、ここで一つ、新たな疑問が生まれた。



“なぜ私はここにいるのだ”?



意識を失う前、私は確かに、≪ムカイビル≫の屋上にいた。

だが私が今いるこの場所は、≪私の部屋≫だ。

これは一体どういうコトだ?

≪ムカイビル≫から≪私の部屋≫までは、車でも30分はかかる。

大人一人をそれだけの距離運ぶのは、そう簡単ではないはずだ。


だが、そのコトを除けば。

不自然に部屋に戻っているコトと、ゾンビになっているコトを除けば、いつもと何一つ変わらない、平穏な日常だった。

≪私の部屋≫は、いつもと同じ。

ここが違う場所に作られたセットだという可能性は、ゼロに等しい。
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