イジワル社長と秘密の結婚
秘密の結婚生活の始まり
蒼真さんに、なんでキスをしてきたのか何気なく聞いてみたら、“単に顔がタイプなんだよ”なんて、かなり軽い答えが返ってきた。

どこまで本気で言ってるんだか。あんな風にキスをされる日々が続くのは、さすがに困る。

「ちょっと咲希。鏡なんて見つめて、どうしたのよ?」

「あっ、ナオおはよ」

慌ててコンパクトミラーをデスクにしまう。蒼真さんに顔がタイプと言われて、つい気になってしまっていた。

「そんなに見なくても、咲希は可愛いわよ」

からかうように言うナオに、私は気まずさを隠す。蒼真さんの言葉に、振り回されている自分が恥ずかしい。

「そういうつもりじゃないよ」

そう答える私に、ナオはクスッと笑った。ナオは私の同期で、仕事の出来る美人な女性。

一六五センチの身長に、スラッとしたスタイル。決して派手ではないけれど、整った顔立ちに芯がしっかりした性格で、上司受けが抜群だ。

ちなみに前期は、営業成績がNo.1。憧れの同期だった。




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