愛は満ちる月のように

(7)初めての夜

美月は瞬きもせず悠の顔を見つめている。

すると……彼女は悠にとって予想外の行動に出た。

おずおずと手を伸ばし、ベルトのバックルに触れる。カチャカチャと音がして、ふいにウエストが自由なった。そのままボタンを外し、ファスナーを抓み……。


「待った、ちょっと待った。大胆にもほどがあるぞ、美月ちゃん」


気だるい雰囲気が吹き飛ぶほど、悠は驚きの声を上げる。


「だって……引き返して欲しくないから……」


その声は大人の女性のようでもあり、少女のようでもあった。あきらかな欲情を含んだ声。ゾクリとした感覚が悠を包み込む。

ファスナーを掴む小刻みに震える手を上から押さえ、一緒になってゆっくりと引き下ろしていく。

美月の手がかすかに、彼自身に当たり……悠は大きく息を吐き、深呼吸した。そうでもしなければ、一気に我を忘れて押し倒しそうだ。

そこまで進むと美月の手が下着の前で躊躇いを見せる。


(おいおい、それまで脱がせてくれるつもりなのか? まいったな……)


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