愛は満ちる月のように
美月も悠にはなんの恐怖も嫌悪も感じず、むしろ、もっと強く抱いて欲しいと思ったくらいで……。


(いやだ、私ったら……それじゃまるで、本当の夫婦になりたいって言ってるみたいじゃない)


鏡の中の彼女は、見る間に首筋まで赤く染めた。

悠となら、そうなってもいいかもしれない。

ふたりの関係を進歩させ、本当の夫婦になる。でも、それぞれの生活は今までと同じで……悠は日本、美月はボストン。子供が生まれたら尚のこと、危険な日本に戻って来る訳にいかない。

そこまで考えたとき、美月はひとつのことが胸をよぎった。


(日本ではこれまでどおり、ユウさんはたくさんの恋人を作って暮らすんだわ。でも、それは……)


イヤ、と言う資格が美月にあるのだろうか?

でもイヤだった。

悠が他の女性に触れるのはイヤだ。さっきのようなキスは美月だけにして欲しい。恋の嵐は突如として彼女の中に巻き起こり、激しく胸を揺さぶる。


少しだけバスローブの胸元をはだけてみた。

すると、象牙色の美しい肌が露わになる。


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