ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
闇は迫る





―――見られてる…?






ここ数日、私はなんだか妙に視線を感じていた。


(…自意識過剰)


そう思ってしばらくは気にしないでいた。
だけど今夜、仕事帰りに替えがなくなっていたシャンプーを買うために寄った帰り道の途中にあるドラッグストアを出て歩いていると、なにか気配を感じる。


少し急ぎ足になって、それでも怖くなってきた私が走り出して角を曲がったところだった。






「馬鹿者、ちゃんと前を見て走れ」


「―――愁!!」





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