女王様のため息

たとえ限界ぎりぎりまで追い詰められていても、司の言葉一つで引き上げられた。

心の弱さを隠すために完璧さを追う私の気持ちを軽くするように、仕事なんてほどよくそれなりに力を出せばいいと教えてくれたのも司だ。

自分ができるものをほんの少しずつ増やすだけで、無理する事はないと、同期のくせに偉そうな態度と言葉で私の退職願を何度も破く司に涙も見せた。

そんな日々が1年も続けば、知らず知らず私も強くなっていく。

仕事を完璧にこなせるに足りる知識も増えて、自信だって生まれる。

そして、そんな私の変化を一番近くで見守ってくれていた司に、気持ちも揺れるのは自然な流れだった。

大学時代から付き合っている彼女がいる司に気持ちを伝える事はなくても、司の中でも、私の存在は大きいはずだとわかっていたせいか、それで我慢できた。

気持ちを伝えるつもりはなかったのに。

「あー、やってしまった」

週末の朝、ベッドの上で頭を抱えている私。

月曜から、どんな顔して会社で司に会えばいいんだろう……。

夕べ、切ない想いを抱きながら、車を降りた私を引き留める事もなかった司。

それだけで、私への返事がわかった。

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