女王様のため息
席について、目の前にあった大好物のつくねに手を伸ばして、串に刺さっているそれを一気に3個とも引き抜いた。

口の中でもぐもぐと言わせながら、いつもと同じ、甘めのしょうゆ味、隠し味は生姜。

慣れた味覚が私を落ち着かせてくれる。

「そんなに一気に食わなくても、それは真珠の為に頼んでるんだから、慌てるなよ」

「ん、わ、わかってるんだけど……好きだから……」

ちょっと喉に詰まらせながら答えると、司がお水を手に持たせてくれた。

ありがとうと、目で言いながら、ごくりと飲み干した。

「はあ、一気に3個はやっぱり大変。でも、おいしいからいいや。
あ、店長、つくね追加でお願いします」

いつもと同じメニュー、いつもと同じ順番。

そして、いつもと同じように司の隣でビールを飲む。

そして、いつものように『じゃ、また会社でな』と言って手を振る。

ここに向かいながら、私は心で何度もそのシミュレーションを繰り返していた。





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