雪が降る町~追憶のletter~
第三章

1.秘密



「おはよう、結城さん」
「あ、真田さん!おはようございます」
「何か、考え事?」
「えっ??」


晶は早い時間に会社に着くのは珍しいことではなかった。
ありさはさすがに連日朝帰りはしなかったのか今日はまだ姿を見ていなかった。

そして誰もいない一室で晶はパソコンを立ち上げると携帯電話を開いて、ぼーっとしてたのだ。
勿論考えることと言えば、昨日のこと――。


「幼馴染みの彼と、なんかあった?」


いつもオフィスで携帯電話を手にする姿をあまり見たことがない晶が、物思いに耽ったように携帯を見つめているのを見た真田は冗談でそう言った。
だが、晶の反応が思ったものとは違っていて真田は驚くのだった。


「やっ、そんな、なっ何も···!!」
「····」
「あ…あはは、何か今日、暖房きいてますねっ…あつ―――」
「結城さん、今度の土曜日空いてる?」



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