気ままに生きる

カップスがすごいバンドだなと思ったのは最近になってから

 今あらためて思い返してみると、俺にとってのカップスはあっという間の出来事だったけど、いろんな意味で残したものは大きかった。

 最初はカップスで演奏することが、とても楽しかった。ブッチを通してイギリスやアメリカの新しいロックがどんどん入ってきたし、エコー・チェンバーとか新しいエフェクターを使わせてくれたし、毎日が刺激的で楽しくてしょうがなかったよ。とにかく夢中でやっていた。レコードも1日中聴きっぱなしだったんだよ。寝る時もかけっぱなしで寝てさ、終わるといちいち針を戻してさ。

 この頃は仕事って考えていなかったんだ、俺は。好きなことをやって、それで給料がもらえるんだから夢みたいな生活だった。ただお金の価値観はよくわからなかったから、あとで考えるとこんなに良かったのかって思ったんだけどね。

 ゴールデン・カップから外に出て仕事をするようになってからは、最初は楽しかったけどいつの間にか変わってしまったよ。知らないうちに仕事がいっぱいに入っていて、寝る暇もなくなって流れでずっとやっていた。カップスは人生の光と影、両方を分からせてくれたよ。
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