カローレアの金
「気づくの遅ぇよ」

アンは走って勢いをつけ、木箱の上に乗り、それを台にして高く跳び…

ブロック塀の向こう側に消えた。

「乗り越えるのが無理そうなら飛び越えるまで…ってね」

着地したアンはそうぽつりとつぶやき、踵を返す。

そして、自分が飛び越えた塀の向こうに小さな子供がいることを知った。

「くっそー間に合わなかったか‼この塀を飛び越えるとは…全員向こう側へと向かえ‼」

「おー。早くしないと来ちまうか」

アンと向かい合っている小さな子供は、アンが抱えている食糧を物欲しそうに見ているが、その欲を声に出さない。しかし代わりに、大きな空腹音が響く。

「………」

アンはため息をつき、子供の前にしゃがみこむ。

子供はびくっと震えた。

「ほら。これ食え」

アンは小さな子供にパンを差し出した。

「…え、でも…」

「いいよ。まだ食糧はある。その代わり、ここに来る衛兵に私がどこに行ったか言うなよ?」

「……うん…」

アンはあたりを見回した。
子供の連れらしき人影は見当たらない。

「お前…一人か?」

アンのその問いかけに、子供は黙って頷いた。

「…親は?」

「お父さんも、お母さんも…事故で死んじゃった。」

「孤児…か。孤児院は抜け出したのか?この国には一応孤児院だって何か所もあるだろ?」

「あそこは嫌だ…お母さんに会いたい…お父さんに抱っこしてもらいたい…」

子供はポタポタと涙をこぼした。


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