甘い誓いのくちづけを
「キールだよ」
目の前で揺れた赤い液体が、理人さんの顔を益々秀麗に見せる。
「一応カシスリキュールで作られてるんだけど、ちょっと飲み難いかもしれない」
彼の声に耳を傾けながら、グラスを受け取った。
「君の選択は正しかった。だからきっと、君は幸せになれるよ」
それはきっと、その場凌(シノ)ぎの励ましの言葉。
だけど…
向けられた瞳は嘘偽りが無いと思える程に真っ直ぐで、その微笑みもやっぱりとても優しくて。
傷付いたあたしの心に、ほんの少しだけ光が射し込んだ。
ゆっくりと口を付けたグラスから、カクテルを流し込む。
生まれて初めて飲んだキールは、失恋したばかりのあたしの心の中を映しているような辛口だった――…。
目の前で揺れた赤い液体が、理人さんの顔を益々秀麗に見せる。
「一応カシスリキュールで作られてるんだけど、ちょっと飲み難いかもしれない」
彼の声に耳を傾けながら、グラスを受け取った。
「君の選択は正しかった。だからきっと、君は幸せになれるよ」
それはきっと、その場凌(シノ)ぎの励ましの言葉。
だけど…
向けられた瞳は嘘偽りが無いと思える程に真っ直ぐで、その微笑みもやっぱりとても優しくて。
傷付いたあたしの心に、ほんの少しだけ光が射し込んだ。
ゆっくりと口を付けたグラスから、カクテルを流し込む。
生まれて初めて飲んだキールは、失恋したばかりのあたしの心の中を映しているような辛口だった――…。