どうして好きなんだろう
1章 



「り~お~。さっき廊下で話してたのダレ?」

3年生に進級したばかりの教室では、みんなが楽しみなお昼休みも少しだけぎこちない空気が流れていて。

お弁当グループは「一緒に食べる?」なんて、顔を見合わせたり机を寄せ合ったりしているし、購買部に買いに行く子は次々にお財布を握り締めて教室を出て行く。



そんなことはお構い無しに、少し高めのハスキーボイスがズカズカとその空間に入ってくる。

皆が羨む特等席で教室の隅、窓側の一番後ろに座っている私の席までもためらいなく近寄ってにっこり目尻を下げて微笑む彼。

それは、下級生の女の子達からは密かに人気があることを当の本人は知ってか知らずか、大安売りで振りまいている。
< 1 / 215 >

この作品をシェア

pagetop