やっぱり、好きだ。
胸を撫で下ろし、自分の席に戻ろうとすると、
「俺、別に面談ここでいいし。高村だったら聞かれてもいいし」
青山くんが、担任の手を解き適当な席に腰を下ろした。
あーおーやーまー。まじでなんなんだよ。
「じゃ・・じゃあ、私は帰ります」
青山くんの行動は意味不明だけれど、私の進路相談は終わっているし、帰って良いはずだ。
逃げよう。さっさと逃げよう。
机の上の鞄に手を伸ばした時、青山くんが私の腕を掴んだ。
「俺、志望校変える。高村と同じ大学に行く」
そして、とんでもない事を言い出す青山くん。
はぁ!!?? 何の為にランク下げるって言うんだ。
ふと担任の顔を見ると、『てめぇ、青山に何言ってくれたんだよ』とでも言いたげな白い目を私に向けていた。
違うのに!! 冤罪!! 無罪ですから!!
・・・仕方ない。もう、言うしかないな。
「私の志望校はK大よりずっと偏差値低いの。恥ずかしいから言いたくなかったんだけど・・・」
渋々話出す。
「私は『それ、第2希望にしなよ』
さっきまでガンガン質問してきたくせに、青山くんは私の答えを待たずに言葉を被せた。
「センセー、高村の第1希望K大医学部看護学科に変えておいて。そーすれば一緒に勉強出来るじゃん。俺が高村に数学教えるから、高村は俺に英語教えてよ。 ハイ!! GIVE&TAKE成立!! つー事で、高村帰りたそうだから俺達帰りまーす」
青山くんは私の手を引っ張りると担任の「待て!!」の静止を耳に入れることなく教室を出た。