やっぱり、好きだ。
「この辺でちょっと待ってて。俺、家戻って車取ってくるわ」
そして、来たばかりの道を引き返そうとする青山くん。
「大丈夫です!! これくらい自分ひとりで運べます」
「じゃなくて、そんなに荷物があると周りの人に迷惑かかるでしょ」
・・・確かに非常識だ。青山くんの言う通り。
超自惚れてた。青山くんは、私の為ではなく、迷惑するであろう人々を気遣ったのだというのに・・・。
「そうですよね。すみません。私、1回アパート戻って、量減らしてから自転車で学校行きます。だから、青山先生はバスに乗ってください」
バスの乗客だけでなく、青山くんにまで迷惑をかけるなんて有り得ない。腕時計を確認し、全力で走ればイケそうだと、急いでアパートに帰ろうとすると、
「車乗るの嫌なん??」
青山くんが走り出そうとする私の腕を掴んだ。
「違います違います。青山先生に面倒かけるのが嫌なんですよ」
「面倒じゃないから。てゆーか、むしろサヤ子のそういう頑固なとこが面倒かも。サヤ子は俺に遠慮とかしなくていいんだって」
「頑固で面倒・・・」
青山くんの言葉が、地味に突き刺さる。
「そこだけ切り取るなって。サヤ子に遠慮されるのが嫌だって言ってんの。と、いう事で、ここでちょっと待っとけ」
青山くんは ポンと私の肩を叩くと、『いや、でも』とそれでも遠慮しようとした私を置いて、マンションに走って行ってしまった。