やっぱり、好きだ。
 「高村先生、おはようございます」

  靴を履き替えていた桜井先生が私に気付いた。

 「桜井先生、おはようございます。・・・あの、一昨日は本当にすみませんでした。楽しい時間をぶち壊してしまいまして・・・」

 どうしても強張ってしまう頬の筋肉を無理矢理上へと引き上げた。

 「・・・高村先生は、なんで看護師辞めてまでこの学校来たんですか??」

 「・・・え」

 桜井先生の質問に、内履きに履き替えようと脱いだパンプスをしまう手が止まる。

 「・・・それは「本当に知らなかったんですか?? 翔太がいること」

 素直に答えようとした言葉に、桜井先生が更なる質問を被せる。

 きっと、また私が青山くんをストーキングしに来たんだと思っているのだろう。

  本当の理由が言いづらい。 何を言っても嘘っぽく聞こえてしまいそうだ。

 「・・・本当に知りませんでした」

 「本当に??」

 案の定、正直に答えても桜井先生は私の事を疑っている様で、どことなく煙たい顔をした。

 「知ってたらもっと早く行動してるでしょ」

 そんな私たちの会話に加わる様に、 後ろから声がした。
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