やっぱり、好きだ。

 『大学の時のサヤちゃんの痛みが少しでも分かったか?? サヤちゃんの場合はもっと辛かっただろうに』

 さっきまで笑っていた森田が、笑うのをやめると声のトーンを戻した。

 「・・・分かってるつもり。俺がキレる事自体おかしい事も分かってるのに・・・」

 『その続きは来週な。時間と店はメールで送っとく』

  日本にいる俺に店の予約くらいさせればいいのに、『自分が誘ったから』という理由で自分で店探しをする森田は、アメリカに渡ってジェントルマンになったらしい。

 まぁ、元々いい奴ではあったけど。

 森田との電話を切って、ふと気付く。

  森田、何の用だったんだ?? 折角かけ直してくれたのに、自分の話ばっかしてたな、俺。

 来週はちゃんと森田の話聞こう。
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