やっぱり、好きだ。
HEAT UP
 




 アメリカから帰ってきても、学校自体は夏休みのはずなのに、補講だ補修だなんだで忙しいのが教師ってもんで。

 折角休みでも、サヤ子は実家に帰ったり田舎にお墓参りに行ったりで。

 俺ん家に遊びに来ても、泊まらずにきっちりアパートに帰る始末で。

 つまり、未だにプラトニックだったりする。

 だってさー、サヤ子にあんな風に言わ れたら襲えるわけないじゃん。待つしかないじゃん。嫌われたくないじゃん。辛抱たまらんじゃん。誰か、マジで俺の事褒めて。褒め称えてよ。




 そんなこんなで明日始業式です。

  身体が異常に重くて怠い。

 ・・・何これ、風邪ってヤツですか??

 「鼻水で溺れそう。助けて、サヤ子」

 こんな時、イヤ、こんな時じゃなくても、でもこんな時だからこそやっぱりサヤ子に甘えたくて電話した。
< 286 / 353 >

この作品をシェア

pagetop