やっぱり、好きだ。
 





 「サヤちゃん、俺に告わせないようにしてるのかな??」

 学食のテーブルに頬杖をつき、少し焦っている様子の森田。留学まで時間がない。

 「俺、ちゃんと告っておきたいんだよね」

 森田が学食のカレーをスプーンで意味なく混ぜる。

 「なんで??」

 うどんをすすりながらそっけなく聞くと

 「翔太さぁ、サヤちゃんが『自分はストーカーじゃない』って否定しなかった理由知ってる??」

 森田が、どことなく俺を責める様な目で俺を見た。

 「え??」

 思わず箸を止め、俺もまた森田の方を見た。

 確かに、サヤ子は否定するどころか認めていた。俺に文句も言わず、逆に謝罪さえしていた。

 『誤解』という言葉で片付けるには、あまりにも物わかりが良すぎる気がする。

 「ずっと前にサヤちゃんに聞いたんだ。そしたら『私、青山くんに『好き』とも『付き合おう』とも言われた事なかったのに、彼女面して勘違いしてたんだ。だから、そう言われて当然なんだ』って言ってたんだよね」

 森田の言葉に目を見開く。

 サヤ子にちゃんと自分の気持ちを伝えてこなかった後悔と申し訳なさで頭がいっぱいになる。

 俺がサヤ子に文句を言わせない様に仕向けていたんだ。
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