やっぱり、好きだ。
 


 高1の時に、青山くんと同じクラスになった。

 明るく、頭も良い青山くんはいつもクラスの中心にいた。

 私はと言うと、特に目立つ事もなく地味にそれなりの高校生活を送っていた。

 そんな私が青山くんとまともに喋ったのは、放課後に行われる進路面談の日だった。

 私の次が青山くんの順番だった為、自分の面談が終わった後に青山くんを呼びに教室に戻ると、彼は誰もいない教室で何故か私の席に座り、勝手に私の英語のノートを見ていた。

 「青山くんの番だよ」

 自分だけが分かれば良いという感覚でノートを取っていた為、特別綺麗な字でもなければ見やすくもないそれを見られてしまった事に、若干の不快感を覚えながら彼の名前を呼ぶと、

 「高村って英語得意だよね。俺、英語苦手。高村、今度教えてよ」

  青山くんは私の気持ちなどお構いなしにパラパラとノートを捲った。

 嬉しかったけど、私は青山くんが帰国子女のユイカさんと仲が良い事を知っていた。
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