僕の伯父さんの都市伝説
露天風呂のお話 其ノ貮
夏休みのど真ん中の観光地で

伯父さんは宿の予約なんて

していない。


出たとこ勝負で民宿でも

宿坊でも兎に角

寝られりゃいいやなんて

そう思っていたらしいんです。

こう言う性格だから伯父さんは

今だに独身なんです。

その内段々と薄暗くなってくるし

結構多かった人影も

まばらになって

其の内に道を歩いているのは

伯父さん一人になっちゃったんです。


「こまったなー」

僕に話を聞かせてくれている時も

そう言っていましたけど

顔は全然困っていない。

伯父さんは何時もそうなんです。

何でもぎりぎりになってから

慌て出すんです。

そうこうしているうちに

ふと川向こうを見ると

灯りが見えたんです。


あ、言い忘れましたけど

伯父さんの歩いていた

国道に沿って川が

流れていたんだそうです。

まあ川と行っても石が

ゴロゴロしている河原が主で

深いもんじゃ無かったそうですけど。


それで近づいてみると

どうやら宿屋みたいで

こりゃ助かったって訳で

伯父さんは急いで

宿の人に泊めてくれるよう

頼みました。

宿って言っても

まあ民宿に毛の生えた程度のもので、

それでもシーズン中だったから

もう満室で伯父さんは無理だって

言われるところを拝み倒して

普段は布団部屋か物置に

使われている部屋を

急遽掃除して貰って

何とかかんとか泊めて

もらえる事になったんです。


「妙にかび臭い部屋だったけど

贅沢は言えないしね」

「それに宿の人たち親切でね」

「大体飛び込みでしかも一人なんて

断られて当然なのに食事の手配まで

してくれたんだよ」

「ホント助かった」

伯父さんは本当に感謝していたみたいです。


そうこうしているうち食事も終わり

伯父さん安心したのか

眠くなって来たんです。

それで折角、温泉来たんだからと

温泉に入ってから寝ようと思い

風呂場まで出かけたそうです。

それで廊下を歩いていると

伯父さんの目に一枚の張り紙が

飛び込んできました。

「露天風呂」って。
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop