桜星サンセット
「おはよう」

高野さんが私達に笑顔であいさつをしてきた。

こんな事初めてだ。

「・・・おはよう」

びっくりしている私達を気にも止めず、他の子たちにも笑顔とあいさつを振りまいている。

これもアンの真似なんだろう。

声まで高くなっている。

それから高野さんのアンの真似は続いた。

カバンや携帯のストラップ、シャープペンまで全く同じ物か、とてもよく似た物、お昼のパンや休み時間に飲むジュースも同じ物を持っている。

アンに憧れて同じ物を持っている子は結構いたが、さりげなくだったり、一言「それかわいいね」のワンクッションがあってが普通だ。

高野さんは明らかに異常だった。

その真似も怖いが、常にアンをチェックしている鋭い視線がもっと怖かった。

振り返るといつも高野さんがアンを見ている。

最初は、あの努力涙ぐましいねぇ、なんて笑っていたみんなもだんだん、ちょっと気持悪いね、と怯えるようになっていた。

< 145 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop