桜星サンセット
「アンのお父さんってどんな人?」

「パパ?パパはカメラマン。世界中を飛び回ってて、イギリスでママと会ったの」

カメラマンってカッコイイ。

「今も外国に?」

「ううん、もういないの。私が赤ちゃんの頃、他界したの」

「そうなんだ、ごめん」

「いいのよ。ママからいっぱいパパの話聞いてるし。どれだけかっこよくて素敵な人だったかって。ママがあんまり幸せそうに話すから、私もパパの話だけですっごく幸せになってるから」

アンは今までに見た事のない、幸せに満ちた笑顔をしていた。

何となく分かった気がする。

桜も運命の人も本当の意味では関係ないのかもしれない。

桜の伝説にお父さんを見ている。

アンが信じているのはアンのお父さん。

運命の人がいつかお父さんを連れてくるのを。

それを待っている。

あの桜の下で出会った私といるだけでお父さんをどこかに感じているのかもしれない。

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