思い出のきみ
第五章
朝日が顔に当たり目が覚めた。


隣を見ると沙依の姿はなかった。

今でも、沙依が頭を乗せる為に腕を伸ばして眠るクセがある。


それも、いつも左腕だ。
右手が痺れたら、拳銃が持てなくなるから…という理由からだ。

オレは、クスッと笑った。いくら警察官でも、拳銃を持つ機会などあまりないのだが。

沙依は、「でも、いつ使うか分からないでしょ!?」と力説していたな。

オレは、左腕をそのままに、もう一度眠ろうと目を閉じた。


眠る時に、いつも願う。もう、沙依に会う事が出来ないのなら、せめて夢で会えるようにと…
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