再会~初恋のやり直し~
じゃんけん
「ただいま~。」

子供が帰ってきた。

「今年は3組!また竜と同じクラスだ!お昼まで、竜と遊んでくるね~!」
と、ランドセルを投げて出て行ってしまった。
私の一人息子の正輝だ。

今日から小学5年生。遊び盛りの10歳だ。

投げ飛ばされたランドセルの中をあさり、学校から配られた手紙に目を通す。

『懇談会のお知らせ』
「当日は今年度の役員の選出があるため必ず出席してください。」

・・・

きたきた、春の恐怖行事。役員選出のための懇談会。

毎年、この時期になると、だれか役員を引き受けてくれる人はいないかと
父兄同士の駆け引きが始まる。

役員大好きな父兄が同じクラスにいてくれると助かるんだが、そうでないと、だれか立候補者が出るまでシーンとした状況が続くのである。

低学年のときに役員を経験した父兄は
「やったことない方にお願いしまーす!」
なんてちょっと余裕な感じで楽しんでいる。

「立候補者がいない場合、じゃんけんになりますがよろしいですか?」

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