引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
06☆利用された想い

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期末テストが無事終わり、夏休みも目前。





梅雨が明けたみたいで、窓の外は夏の青空が広がっていた。







拓はこの前の日曜日に行われた陸上部の県大会で、見事100m2位、200mも2位という好成績を残し、全校生徒の前で表彰されていた。








「じゃあ…、次。杉田さん入ってー」



「あ、はい」






廊下に並べられた椅子に、お母さんと並んで座って待っていたら、教室の入口から担任の先生に呼ばれた。





…そう。



今日は進路について話し合う、三者面談。





一応第一希望は拓と揃えて県立A高校普通科にしてるんだけど、何て言われるかな…?






「杉田さんの第一希望は、A高校かぁ…」



「はい」






担任の村尾(むらお)先生は、30代後半の国語の女の先生。





今年からうちの中学に赴任してきたけど、すっかり馴染んで、拓のいつものタメ口での突っかかりなんかもサラッとかわすようになっていた。





結婚はしてるみたいだけど、かなり仕事ができるバリバリのキャリアウーマンって感じの先生。






「なるほどね。…で、お母さん。これが柚さんの成績表なんですけど…」



「はぁ…」






両親には毎回成績表を見せてるから、お母さんも特に何も言うことなく、村尾先生から差し出された成績表を見つめていた。





ちなみにA高校に行きたいともちゃんと言ってある。





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