蜜色トライアングル ~Winter Blue

2.侵すべからざる聖域




事故から3日後。

二人きりになってしまった冬青と由弦の前に、ある夫婦が現れた。

それが桐沢清二と妻の花枝だった。

夫婦は二人を引き取り、冬青と由弦は彼らの家で生活することになった。


『これからは、ここがあなたたちの家よ?』


由弦を抱き、にこりと笑った花枝の後ろから、小さな女の子が顔を出した。

歳は3歳くらいだろうか。

おかっぱの黒髪に、くりっとした目。

その穢れのない純粋な瞳に、冬青は心を掴まれたような気がした。

まさに自分と対極にいるような少女だった。


『この子は木葉というの。……さぁ木葉、ご挨拶しなさい。今日からお兄ちゃんになる冬青よ』


花枝の言葉に、木葉と呼ばれた女の子はトコトコと冬青のところに駆け寄った。

冬青の前で足を止め、透明な澄んだ瞳でじっと見上げる。


その瞳を見た瞬間、冬青は自分がどれほど穢れているかを思い知った。

そして無意識のうちに思った。


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