5月中旬。


灯里は職場の自席に座ったまま大きく伸びをした。

GWが過ぎ、休みボケしていた頭にそろそろエンジンをかけなければならない。


机の隅には見積書やら請求書やらが山のように積まれている。

今日中にこれらの山を片付けないとならない。

灯里が書類の仕分けをしている向かいで、山岡課長が口を開いた。


「そういえば、灯里ちゃん」

「はい?」

「今日、夕方4時から全社員会議室に集合だって。なんでも新しい取締役が挨拶に来るらしいよ」

「新しい取締役?」


灯里は思わず手を止め、顔を上げた。

GW明けのこの時期、3月で決算期を迎えた会社は株主総会の準備を始める時期だ。

有価証券報告書や決算短信など、株主総会のための資料をいろいろ用意しなければならない。

玲士が所属する経営企画室や経理部が一年で最も忙しくなる時期だ。


「株主総会はまだだけど、就任することは決まっているから先に挨拶に来るとか言ってたな~」

「へー。その人、どこから来るんですか?」

「忍村の親会社らしいよ。忍村の社長の親族だとか言ってた」


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