悪魔のようなアナタ【完】

6.未来への布石





<side.玲士>



11月末。


ある日の定時後。

玲士はとある書類を上司の沢井に提出した。


――――退職届。


上司の沢井は書類を見た瞬間、面食らったように頬を引き攣らせた。

が、やがて肩を落として大きなため息をついた。


「いつかこういう日が来ると思ってはいたが……。思ったより、早かったな」

「すみません、室長」

「いや、君の能力はこの会社では生かし切れない。君にはもっとふさわしい職場があると

私もずっと思っていた」


沢井は言い、目を細めて少し笑った。

玲士の退職届を眺めながら口を開く。


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