悪魔のようなアナタ【完】
「そういえば、灯里」
「なぁに?」
「念のため言っておくが、会社ではあくまで取締役と一社員だ。ヘタに慣れ合うとお前が痛い目を見る」
「うん、わかってるよ」
「ならいい」
灯里の言葉に晃人は目元を緩め、頷く。
灯里はこの間の集会のことをぼんやりと思い出した。
取締役ともなればヒラ社員にとっては雲の上の存在だ。
そもそもフロアが違うし、会うこともほとんどないだろう。
今日はたまたま下界に降りてきてくれただけで、そのあたりはさすがの灯里も分かっている。
二人はその後、思い出話や近況報告をして日が陰る頃に別れた。