悪魔のようなアナタ【完】



16:00。

灯里は部長に呼ばれて山岡課長とともに1Fの会議室に入った。

そこに晃人の姿を見つけ、思わず息を飲む。

晃人の横には商事部長の真木が座っている。

山岡と灯里は軽く一礼して二人の向かいに座った。


「神園取締役、こちらが電機設備課長の山岡と、部下の吉倉です」


真木部長が簡単に二人を紹介する。

真木部長は50代後半で、銀縁眼鏡をかけて神経質そうな顔つきをしている。

のんびりした印象の山岡課長とはそりが合わないのではと思われがちだが、実はこの二人は飲み仲間らしい。


「山岡です、よろしくお願いします」


と晃人に挨拶した山岡に続き灯里も軽く挨拶した。


「はじめまして。吉倉です、よろしくお願いします」


灯里は先日晃人に言われたとおり、まるで初対面かのように振舞った。

しかし晃人の顔を見てしまうと動揺しそうになる。

灯里は晃人の顔を極力見ないようにしようと思いつつ、真木の方に顔を向けた。


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