死神の邂逅
死に目に出会えず、見初められた梟


(一)


魂の伐採師。
その呼び名は、幾分も“柔らかくした名”だと五十鈴(いすず)は思っていた。


死んだモノの魂を切り分け、流す送り人だとも前に言われたが、死に目たる当人にしてみれば、“死神”にしか見えない。


忌み嫌われる死の象徴。決して死神がその者を殺すわけではないが、死に逝く者の目からすれば、死に間際に突如して現れた者を神(救い)ではなく、死神(殺害人)と思うそうだ。


そんなことはない、と言ったところで信じてもらえないし、死ぬことが確定した奴に自身の本分を語っても無意味となる。


どうせ、死ぬんだ。


魂の伐採師だろうと、死神だろうと、五十鈴のやることは変わらない。


死を見届けたあとに、肉体に繋がる魂を鋏で断ち切る。


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